フランスの探検家がクレバスの底に降りてみた動画。30分近い動画で3日に分けてクレバスの底を探検していきます。
クレバスの深さは大体10mから凄いものは数十mと言われていて、この動画のクレバスも10mくらいに見えますがかなりの深さに感じます。
クレバスはクラック(裂け目)といわれる雪山の氷のヒビが雪解けで徐々に広がってクレバス(割れ目)になってできると言われていて、最深部に近づくにつれて割れ目は狭くなります。最深部は氷が張っていたり溶けた氷の水が通っています。この動画でも底は人一人が通れる狭さで地面は氷だったり雪解け水が流れているのがわかります。
底まで降りると光は届いてますが、横道に行くと氷で遮断されて真っ暗でライトがないとすぐ何も見えなくなり閉所恐怖症にとっては悪夢のような場所です。
クレバスに落ちたら助からない? 危険なヒドゥンクレバスとは…
登山中のクレバスは回避できない場合、このように大掛かりな作業で時間と体力、高所を渡る精神的疲労などで厄介ですが、登山家達が最も恐れるのは雪で覆われて見えない「ヒドゥンクレバス」といわれるタイプ。
スキー中に真っ白な雪景色を見て「クレバスがある」と言うスキーヤー。しかし後続が止まった時に飛んできた新雪で滑ってそのまま落ちてしまう動画。
なぜあの雪一面でクレバスに気づいたか確証はありませんが、目の前の雪がわずかに段差があるのでそれがクレバス特有の目印なのか、または2:04に右を見たときに不自然にぽっかり空いた穴があるのでそこから続いている割れ目が隠れていると思ったのかもしれません。
ヒドゥンクレバスは見えないから危険な上に割れ目は大体が狭く小さいので落ちたら救助隊が到着しても狭すぎて降下できないためそのまま断念するケースもあります。1981年に登山家の白水ミツ子さんが中国のボコタ峰でヒドゥンクレバスに落下してしまい、救助隊がかけつけるも救助できず彼女自ら救助を諦めさせました。遺体は14年後の1995年に発見されました。
参考:クレバスに消えた女性隊員
※リンク切れの場合は「クレバスに消えた女性隊員」で検索すれば当時のやり取りが出てきます。
こちらは無事山岳救助隊に救助された動画。しかし落ちた人は狭い穴にハマって身動きが取れない状況。これでもクレバス救助としてはやりやすい方なのかもしれません。
こちらはヒマラヤで一人で登山中に20mクラスのクレバスに落下して自力で脱出したジョン・オール教授。30秒あたりで映る彼の顔はボコボコで傷だらけ。落下中に氷の壁にぶつかり続けて、肋骨は折れ、右腕は脱臼骨折した状態で4.5時間かけて脱出しました。上の動画で落ちた人は裂傷は無かったので深い割れ目にしてはマシなクレバスだったのかもしれません。
ヒドゥンクレバス対策として登山家の植村直己氏は腰に長い竹をつけたり、他でも2mのスキーを履いていくなどがありました。
しかしこのようにスキーやスノボ、ときにはスノーモービルですら飲み込むこともあるので完璧な対策というのは存在しないようです。
youtubeのクレバスに落ちる系動画はウィンタースポーツ中のがとても多いです。
歩きならわかるものでもスキーなど速度がある時は真っ白な雪景色にいきなり穴が見えたときには対処不能のようです。動画一個目は穴に気づいて避けたらそこがヒドゥンクレバス状になっていて落ちてしまったようですね。2つ目の動画はヒドゥンクレバスのように見えてもよくみると穴は開いてるのがわかりますがスノーモービルの速度では気づくのはかなりギリギリになってしまいます。
クレバスは落ちたら高確率で死亡するというわけではなく裂け目が小さすぎて一人で抜けられる落とし穴クラスの物や、綺麗な縦穴状態でセルフレスキューで引っ張り上げられるレベルの物も多数あって、その全部が助からないレベルというわけではありません。しかし一人行動や連絡手段が無くなってしまった場合は浅い穴でもかなりの危険性があります。
日本でもバックカントリー(スキー場など管理されたエリア外でのウィンタースポーツ)中にクレバスに落ちての死亡事故というのがかなりあるそうで、動画ではかなり浅い穴のように見えますが雪に埋もれて自力では身動きが取れなくて救助されるころには低体温症のおそれがあったようです。
クレバスから救助されても死亡? 原因は?
こちらはなんと日本のスキー場でのクレバス死亡事故。なくなった方はスキー場のパトロール隊長。危険箇所の確認中にクレバスに落下してから3時間後にレスキューされました。しかしその2時間10分後に低体温症で亡くなったそうです。20年従業員としてスキー場で働くプロでもこうなってしまうと考えると恐ろしさが伝わります。
クレバス事故というとエベレストなど有名な雪山登山にあるイメージですが、日本のスキー場ですら7mクラスの割れ目が存在していました。そしてすぐ人が駆けつけられる環境でも気づかれず救助までに数時間かかってしまうと低体温症で命の危険があるという・・・
改めてどこにでもあり、危険度も高いクレバスの怖さを感じてしまいます。
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