骨董屋で2ドルで買った写真がビリー・ザ・キッド!?500万ドルの価値がついた驚きの理由

人・偉人

古物店でわずか2ドルで購入された古い写真が、アメリカ西部開拓時代の伝説的なアウトロー「ビリー・ザ・キッド」を写したものだと認定され、なんと500万ドルの保険価値がつけられた――。

まるで映画のような話ですが、これは2015年に実際に大きな話題となった出来事です。

しかも写真に写っていたのは、銃を構えたアウトローの姿ではありません。

仲間たちとクロケーを楽しむ、若き日のビリー・ザ・キッドとされる人物の姿でした。

では、なぜ普通の古い写真がそこまで高い価値を持つことになったのでしょうか。

そして、なぜビリー・ザ・キッドは死から140年以上経った今でも、映画や小説で繰り返し描かれるほどの人気を持っているのでしょうか。

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2ドルで買った古い写真が500万ドルに?

写真を購入したのは、カリフォルニア州の写真コレクター、ランディ・ギジャロ氏です。

2010年、ギジャロ氏はフレズノの古物店で、古いティンタイプ写真を3枚、まとめてわずか2ドルで購入しました。

ティンタイプとは、19世紀に広く使われた、金属板を使って作られる写真です。

その中の1枚を自宅で拡大して調べていたところ、ギジャロ氏は写真の中に見覚えのある顔を発見します。

「もしかして、ビリー・ザ・キッドではないか?」

こうして、たった2ドルで購入した写真をめぐる長い調査が始まりました。ギジャロ夫妻はその後、写真に写る人物や撮影場所、時代背景などについて5年にわたって調査を続けたとされています。

そして2015年、アメリカ西部史の資料を扱う専門会社Kagin’sが、この写真をビリー・ザ・キッドを写したものとして認定しました。

さらに、この写真には500万ドルの保険価値がつけられました。

ただし、これは「500万ドルで実際に売れた」という意味ではありません。

あくまで当時、専門家によってその価値が評価され、500万ドルで保険がかけられたという話です。

つまり、

2ドルで購入した写真が、500万ドル相当の価値を持つと評価された

というわけです。

写っていたのは「銃を持ったビリー」ではなかった

さらに興味深いのが、写真の内容です。

写真には、複数の男女が屋外に集まり、クロケーという球技を楽しんでいる様子が写っています。

その中の人物の一人が、ビリー・ザ・キッドだとされています。

撮影されたのは1878年の夏とされ、ビリー・ザ・キッドが所属していた「リンカーン郡レギュレーターズ」の仲間たちも写っているとKagin’sは判断しました。

ここが、この写真の特に面白いところです。

ビリー・ザ・キッドと聞くと、

「銃を持った無法者」

「馬に乗ったガンマン」

といった姿を想像する人が多いでしょう。

ところが、この写真で彼がしているのは仲間たちとのクロケーです。

もし認定どおりビリー本人だとすれば、そこに写っているのは「伝説のアウトロー」ではなく、仲間と余暇を過ごす一人の若者の日常なのです。

発見者のギジャロ氏も、この写真について「人物の肖像というだけではなく、その日の生活を伝える写真」という意味で価値があると説明しています。

ビリー・ザ・キッドの生前写真は非常に少ない

この写真が大きな注目を集めた理由は、そもそもビリー・ザ・キッドの生前写真がほとんど残っていないからです。

2011年には、ビリー・ザ・キッドを単独で写したティンタイプ写真がオークションにかけられ、約230万ドルで落札されました。

こちらは1879~1880年頃にニューメキシコ州フォートサムナーで撮影されたとされる写真で、銃を携えたビリーの姿が写っています。

2015年に発見されたクロケーの写真が認定されたことで、当時は「ビリー・ザ・キッドの確認済み写真として2枚目」として大きな話題になりました。

つまり、単なる「古い西部劇の写真」ではありません。

伝説的な人物が実際に生きていたことを示す、極めて珍しい一次資料

だからこそ、数百万ドルという評価につながったのです。

ただし、本当にビリー・ザ・キッドなの?

ここで注意しておきたいのが、この写真の真贋です。

2015年当時、Kagin’sは複数の専門家による調査を経て写真を本物と認定しました。

一方で、ニューメキシコ州の歴史資料を扱う関係者や写真の専門家の中には、人物の顔や背景などを理由に「ビリー・ザ・キッドとは確認できない」とする意見もありました。

そのため、この写真については、

「ビリー・ザ・キッドの写真として専門家に認定された」

と説明するのが安全です。

「誰もが本物だと認めた写真」と断定するのは適切ではありません。

この真贋をめぐる議論もまた、写真をめぐるミステリーをより大きなものにしています。

そもそもビリー・ザ・キッドは何者だったのか?

ここで、写真の主役であるビリー・ザ・キッドについて見てみましょう。

ビリー・ザ・キッドは、1859年頃に生まれたとされるアメリカ西部開拓時代のアウトローです。

本名についても諸説ありますが、ヘンリー・マッカーティ、ウィリアム・H・ボニーなどの名前で知られています。

10代半ばから犯罪に関わるようになり、やがてニューメキシコ州で起きたリンカーン郡戦争に参加。

その後、保安官パット・ギャレットに追われる身となり、逮捕されても脱獄するなどして逃亡を続けました。

そして1881年、21歳という若さでパット・ギャレットに射殺されます。

「21歳で21人を殺した」という有名な伝説もありますが、これは後世に誇張された部分が大きく、実際に彼が殺人に関与した人数については諸説あります。

つまり、ビリー・ザ・キッドは実在した人物ではあるものの、現在私たちが知っている「伝説のビリー」の姿には、後世の脚色もかなり含まれているのです。

なぜビリー・ザ・キッドは今も人気なのか?

では、なぜ一人の19世紀のアウトローが、140年以上経った今でもこれほど有名なのでしょうか。

その理由は、単に「有名な犯罪者だったから」ではありません。

21歳で終わった人生

まず大きいのが、その人生の短さです。

ビリー・ザ・キッドは21歳で死亡しました。

犯罪者として活動した期間も決して長くありません。

それなのに、脱獄、逃亡、銃撃戦、仲間との抗争、賞金首としての追跡、そして最後は保安官に射殺される――。

まるで西部劇の脚本のような出来事が、わずか20年あまりの人生に詰め込まれています。

しかも、21歳で死んでしまったため、

「もし彼がその後も生きていたら、どんな人生を送ったのだろう?」

という想像の余地が残りました。

これが、後世の物語作家にとって非常に魅力的な題材になりました。

「悪人」が時代によってヒーローになった

そして、もっと面白いのが、後世の人々がビリー・ザ・キッドを何度も別の人物として描いてきたことです。

死後のビリーは、最初から「カッコいいアウトロー」だったわけではありません。

後世の小説や映画の中で、

  • 凶悪な犯罪者
  • 法に反抗する自由な若者
  • 弱者を助ける義賊
  • 仲間思いの青年
  • 悲劇的な運命に翻弄されたアウトロー

など、様々な姿へと変化していきました。

つまり、私たちが知っている「ビリー・ザ・キッド」という人物像は、実在した本人だけで作られたものではありません。

死後140年以上にわたって、小説や映画の中で何度も作り直されてきたキャラクターでもあるのです。

PBSの「American Experience」も、ビリーの伝説が書籍や映画によって広がり、1930年代以降の作品ではロマンチックな西部の人物として描かれていったことを紹介しています。

映画が「伝説」をさらに大きくした

ビリー・ザ・キッドを世界的に有名にしたのが、映画やテレビの存在です。

1911年には早くもビリー・ザ・キッドを題材にした映画が作られ、その後も数多くの作品で彼が描かれてきました。

『左ききの拳銃』ではポール・ニューマン、『ヤングガン』ではエミリオ・エステベスがビリーを演じています。

特に1988年の『ヤングガン』は、エミリオ・エステベス、キーファー・サザーランド、チャーリー・シーンなど当時の若手スターが出演したことで、若々しく反抗的なビリー像を広く知らしめました。

ビリー・ザ・キッドを題材にした映画は50本以上に及ぶとされており、まさに西部劇を代表するキャラクターの一人となっています。

「本当のビリー」が分からないからこそ面白い

そして、今回の写真の話につながる最大のポイントがここです。

私たちはビリー・ザ・キッドについて、実はそれほど多くのことを知っているわけではありません。

生前の写真も極めて少なく、本人の実像と後世の伝説を完全に切り分けることも簡単ではありません。

だからこそ、

「この写真は本当にビリーなのか?」

「彼は普段どんな人物だったのか?」

「伝説の中で語られている姿は本当なのか?」

という疑問が、現在でも人々を惹きつけます。

今回のクロケー写真が特に興味深いのも、そのためです。

そこに写っているのが本当にビリー・ザ・キッドなら、私たちが見ているのは「西部劇の主人公」ではありません。

仲間たちとゲームを楽しんでいる、21歳で死ぬことになる一人の若者の日常なのです。

まとめ――2ドルの写真が教えてくれる「伝説」の面白さ

古物店で2ドルで購入された古い写真。

そこに写っていた人物が、あのビリー・ザ・キッドかもしれない。

専門家による認定を経て、写真には500万ドルの保険価値がつけられました。

しかし、この話の面白さは「2ドルが500万ドルになった」という金額だけではありません。

ビリー・ザ・キッドは、21歳という若さで命を落とした実在のアウトローでした。

ところが死後、彼の人生は小説や映画によって何度も語り直され、いつしか単なる犯罪者ではなく、「自由」「反抗」「悲劇」「若さ」といったイメージを背負った西部劇のアイコンになっていきました。

だからこそ、彼の写真がたった1枚見つかっただけでも大きなニュースになります。

そして今回の写真が本当に興味深いのは、銃を構えた伝説のアウトローではなく、仲間とクロケーを楽しむ姿を捉えているとされることです。

伝説になった人物の、伝説になる前の日常。

もしこれが本当にビリー・ザ・キッド本人なら、2ドルで買われた一枚の古い写真は、私たちが知っている「伝説」の向こう側にいる、一人の若者の姿を見せてくれる貴重な歴史資料なのかもしれません。

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