変面師がショーで客席までいって眼の前で変面するという大胆な動画。通常は扇子で隠したり後ろを振り向いた瞬間に変面するものですがこの方はそれすらなしで生変面を披露しています。
それでも面が動いたことすら見えない速さはまさに神業。
最近は変面の仕組みが周知されているので逆にこういう生のパフォーマンスに力を入れている変面師も大勢いるようで撮影されていても構わず披露しているようです。もちろん相当な腕がないと無理なので誰でもできるというわけでもないようです。
変面をスロー再生してみたら種明かしが!?
変面のスロー再生動画はたくさんありますが大抵が既存の動画をスロー再生したもので遠目だったり一回youtubeにあげられて変換された古い画質の動画では変面が速すぎるせいで動画がカクついて変化がわからないという有様。
そんな中レストランのショーで眼の前で変面してくれる人を撮影した人のスロー動画がありました。画質もよくスローもなめらかで面が変わる様子がわかります。それでも一瞬なのが恐ろしいですね。
技術としては帽子の中に何枚もセットされた面を服の中に通してある糸を手足で引っ張って服の中に仕舞っているだけなのですが、速すぎることでスロー再生されてもその凄さが伝わってしまいます。
そしてこちらは今までの人たちの大きな帽子と違ってかつらくらいピッチリくらいの帽子。それでもスムーズに変面していってしまいます。しかも傘で隠さず変面を魅せるスゴ技。スロー再生されようがショーとして眼の前の人が湧く技術や凄みを見せればいいだろうという気概が感じられますね。
国家機密や一子相伝なのは今の変面ではない!?川劇の「変臉」が元?
変面が一子相伝で国家機密というのはテレビでもよく紹介されていますが、その割にショッピングモールなどでよく見れますし日本人でも変面をする人が大勢います。
実は一子相伝なのは今の変面ではなくオリジナルである中国四川省の伝統芸能「川劇(せんげき)」の変臉(へんれん)という説があります。日本でも公開された変臉を題材にした中国映画で「變臉 この櫂に手をそえて」の「臉」が日本では一般的な漢字ではないことから「面」になったと言われています。
毛沢東の側近である周恩来が川劇を見た時に変面に感激して国家2級機密にしようと言ったそうで、中国の演劇界の中で唯一の国家機密なことは今も変わりません。
それがなぜ宴会でもやられたりかくし芸アイテムとして売られてこれだけ一般化されたかは調べるといくつか諸説ありました。
・一子相伝だったせいで後継者がいなくなり途絶えた結果、研究され今の変面が生まれた。(変面は国家機密?変面師になるには?)
・国家機密であるにもかかわらずお金に目がくらんで海外に技術を教えた。(291 中国の三面記事を読む(43) “変臉”芸術について)
この2つの説です。一個目は正式に国家機密とされたのは明の時代から続く川劇の変面で継承者がいなくなり一子相伝の技術が途絶えてしまった後で、1993年に初代変面王である「王道正」が それを独自に「多分こうだろう」という研究をされて作られた別の変面と言われている説があります。だから今の変面は一子相伝の変面とは違う独自の物なので国家機密としては形骸化されてしまって厳重に守られてないのかもしれません。
2個目はお金に目がくらんでというよくあるものですが、そもそも記事をみると王道正が海外のショーで変面をしている外国人のパフォーマーを見て「きっと劇員が機密を売ったんだ。国家機密は守らないといけない」と訴えています。こちらは劇員に教えてる時点で一子相伝ではありませんね。
今の広がり具合をみるに一個目の説が有力だと思います。しかし一応中国は現在の変面も機密扱いとはしているようで日本の劇で変面を披露するにも日本の演出家や関係者には仕掛けを教えることはできず、失敗にも気をつけているそうです。
参考:国家機密と芝居稽古
機密として守る人と守らない人がいるようで、学校の地味な校則レベルの緩さかもしれません。やりすぎたら怒るけどちょっとくらいなら良いよというくらいの扱いのように見えます。
そのおかげかはわかりませんが変面はyoutubeやスマホ撮影の全盛期でも伝統は守りつつ進化してショーの定番ネタとして世界で愛され人気を博しています。
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